山の用語
山の地形
ピーク | 山の頂上を意味します。 |
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コル | 稜線上の凹地のことです。単に窪んだ部分を指します。鞍部(あんぶ)とも言われます。 |
尾根(おね) | 山地の一番高い部分の連なりのことを指します。稜線(りょうせん)や山稜(さんりょう)とも呼ばれます。 |
カール | 圏谷(けんこく)の別称です。語源はドイツ語のKar。山地において、氷河の源流部で形成された谷のことで、氷河の侵食作用によって形成された地形の1つです。氷河の侵食によってできた広いU字型の谷です。北アルプスの涸沢カール、中央アルプスの千畳敷カールなどが有名です。 |
キレット | キレト。切戸。稜線がV字型に深く落ち込んでいる所のことを言い表します。「キレット」と表記されることが多ですが、外国語ではなく、日本語からきています。穂高連峰の大キレットなどが有名です。 |
ゴーロ | 大きな岩がごろごろと堆積した所のことを表します。黒部五郎岳や野口五郎岳などは、このゴーロが語源となった山と言われています。 |
乗越(のっこし) | 大登山用語でいう峠のことを表します。尾根を越える道は、鞍部につけられることが多いので、乗越と鞍部(あんぶ)が同一の場所になることが多いです。 |
ゴルジュ | 大両岸を急な岩壁に挟まれた細い谷のことを表します。廊下(ろうか)とも表現されます。 |
廊下(ろうか) | 両岸を急な岩壁に挟まれた細い谷のことを表します。ゴルジュとほぼ同義ですが、ゴルジュよりも幅が広くて長い谷を言うことが多いです。 |
ザレ場(ザレば) | 細かな石や砂が広がっている場所のことを指します。砂礫地(されきち) |
雪渓(せっけい) | 雪や氷が夏になっても融けないで残っている谷のことを指します。雪が残っている平坦な場所は雪田(せつでん)や雪原(せつげん)と呼ばれます。 |
雪庇(せっぴ) | 強風により稜線に張り出した雪の塊を指します。ブロック雪崩を引き起こしたり、踏み抜いて滑落する危険があるので注意が必要です。 |
デブリ | 落ちて積もった岩、雪、氷などの塊を指します。語源はフランス語のdébris。 |
山の現象
モルゲンロート | 朝日が山肌や雲に当たり赤く染まること。朝焼け。 モルゲンはドイツ語で「朝」、ロートは「赤」の意味です。 |
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アーベントロート | 夕日が山肌や雲に当たり赤く染まること。夕焼け。 |
アルペングリューエン | モルゲンロート(朝焼け)やアーベントロート(夕焼け)により山が赤く染まる現象。山頂光。 |
ブロッケン現象 | 山で太陽光を背に受けたとき、正面の霧や雲に映る自分の影の周りに光の輪が現れる大気光学現象。語源はドイツ語のbrocken。 |
山の隠語
登山では、登山者しかわからないような独特な言い回しがあります。
そのような登山で使う隠語・俗語を紹介します。
キジ撃ち | 男性が山でトイレ(大便)に行くことを表現します。 大便をしている姿が、雉(キジ)をしとめようと構えている姿に似ていることから、そのように言われるようになりました。 |
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お花摘み | 女性が山でトイレに行くことを表現します。 女性が、山で用を足す時に、お花を摘んでいるように見えることから、そのように言われるようになりました。 |
一本立てる、一本とる | 登山中に休憩することを表します。 登山中に休憩する時に、「ここで一本!」とか「一本立てよう」、「一本とろう」と言います。この「一本」とは、昔、登山者の荷物を背負って案内する「強力・剛力(ごうりき)」や「歩荷」が、休憩する時に、杖に使っていた棒を背負子の下に立て、荷物を下ろさずに休憩していたことが由来です。 |
武器(ブキ) | 山で食事をする時に使うフォークやスプーンなど食器類を俗に言い表します。 大学山岳部のテント内の食事が、まるで戦場のようだったため、食器類を武器(ブキ)と言うようになったとか。スプーンやフォーク以外にも、おたま類の調理器具も含めることがあります。 |
デポする | 荷物を置いておくことを言い表します。 英語のDeposit(置く、預ける)の”デポジット”の”デポ”だけを略して使います。荷物を、テントや小屋に置いて、山頂を往復する時や、事前に荷物を置いて行動する時に使います。「荷物をデポって(デポして)から行こう!」などと使います。 |
ピッピ―、腹ピッピ― | お腹を下して下痢している状態を表します。 登山中、食事やストレス、水などで下痢をしてしまうことがありますが、そのような時に、「ピッピ―」とか「腹ピッピ―」とか「下痢ピー」といったように使います。登山中の「ピッピ―」は大変つらいものがあるのでお薬を持参するといいですね。 |
空身(からみ) | 荷物を何も持たずに山頂をピストンしたりする姿を表します。 「荷物を小屋において空身で山頂までピストンしよう」または、「空身で周辺をちょっと歩こう」などと使います。でも空身で行けるのは、本当に小屋から近い場所で、だいたいは、防寒具や行動食、水などを持って行くことが多いです。 |
シャリバテ | ご飯が足りなくて、バテてしまうことを言い表します。 シャリとは「米」のことですが、空腹でバテて動けない状態のことを言います。登山では、シャリバテを起こさないように、こまめに栄養を補給しながら行動するのが鉄則です。 |
ラク、ラ~ク! | 登山中、他の人に落石を知らせるときに使う表現です。 落石(らくせき)を短縮して「ラク!」と言います。自分が歩いて石を落としてしまった時、下の登山者に当たったら大変危険です。その時、下へ向かって大きな声で「ラ~ク!」と叫びます。 |
下界(げかい) | 登山者の中には、街がある地上を表す表現として用います。 山の上の世界の反対の意味として、下の世界を「下界(げかい)」と登山者は言います。「あ~、下界に下りてきた。」というふうに使います。 |
だまし頂上、にせピーク | 頂上だと思ったら、さらに上に頂上があるということがあります。その時の間違うような地形を表す時に使用します。 下から見ると山頂と思っていたピークってありますよね。でもそのピークに到達するとさらに上があったというのは、よくあること。その時に「だまし頂上」「にせピークだった!」という風に使います。 |
テンバ | テント場のことを略した表現です。 「あと、テンバまであと30分くらいだ!がんばろう」といったように使います。 |
象足 | 冬、テント泊の時に、羽毛のテントシューズを表すときに用いる表現です。 寒い季節のテント泊では、足先が冷え、羽毛の靴下のようなものをはく場合があります。それが、まるで象の足のようなので俗に「象足」と言います。 |
トカゲ | 温かい岩場で日向ぼっこして、くつろいでいる状態がトカゲに似ていることから使用される表現です。 トカゲは、日が照った石の上で佇んでいることがありますが、登山者が、岩の上で寝そべって日向ぼっこしている姿が、トカゲと似ているので、俗に「トカゲ」と言うようになりました。 |
巻く | ピークを通らずに山腹を横切ったり、困難な箇所を避けて迂回することを表す表現です。 山頂を通らずに、横の道を進む時など、「巻き道で行こう」などと使います。最近では「ショートカットして行こう」といった使い方もします。また、沢登りや岩登りで、登るのが困難な滝や岩壁を巻くことを「高まき(たかまき)」と言います。 |